'71年、映画界の斜陽に苦しむ日活が起死回生とばかりにつくりはじめたのが「ロマン・ポルノ」である。第1作は、「団地妻・昼下りの情事」(白川和子主演)と「色暦大奥秘話」(小川節子主演)で、11月に公開された。
当初はあだ花と見られていた「ロマンポルノ」だったが、'72年には「キネマ旬報ベスト10」で柛代辰巳監督の「一条さゆり 濡れた欲情」が8位、村川透監督の「白い指の戯れ」が10位になり、注目を浴びた。若手の評論家たちの評論家たちがこぞって伊佐山ひろ子に投票し、助演女優賞に選ばれるや古い映画評論家から文句が噴出した。
'73年の「キネマ旬報ベスト10」では神代辰巳監督の「四畳半襖の裏張り」が6位に選ばれた。永井荷風原作といわれる春本「四畳半襖の下張」を原作に、戦争に向かう時代の悲哀と男と女の情事を組み合わせ、ユニークな作品に仕上げている。「俗謡」や「春歌」を多用して時代の雰囲気とストーリーを語らせるという神代独自の手法も「ロマン・ポルノ」にはよく似合った。
'72年、警視庁は「ロマン・ポルノ」に歯止めをかけようと、日活の3本の映画を猥褻図画公然陳列罪で摘発した。こうした経緯の中で注目を女優の田中真理が注目される。摘発された映画「恋の狩人(ラブ・ハンター)」(山口清一郎監督)で主役をつとめた真理だが、「猥褻って権力が勝手に決めた言葉」と国家権力に叛旗を翻したことから「ロマン・ポルノのジャンヌ・ダルク」と学生たちに支持され、各地の大学祭に招待されたのだ。
'73年には70本の「ロマン・ポルノ」が誕生したが、京都を舞台にしたものがある。中島丈博脚本、小沼勝監督の「昼下がりの情事 古都曼荼羅」がそれで、山科ゆりが主演し、風間杜夫や宮下順子らが出演している。伏見稲荷や化野念仏寺、京阪電車などで京都ロケをしているが、許可などを得ることなくゲリラ撮影しているようだ。今なら、絶対に許されない映画になっているだろう。 |